「妊娠がわかってから歯が痛み出したけど、赤ちゃんへの影響が怖くて歯医者に行けずにいる」——東海市で子育てを始める妊婦さんから、こうしたご相談をよくいただきます。「麻酔をしたら赤ちゃんに影響する?」「レントゲンって撮っていいの?」と不安がいっぱいで、結局ギリギリまで受診を我慢してしまう方も少なくありません。でも、その"我慢"がかえってお母さんの体に、そして赤ちゃんの健康にも影響することがあるんです。この記事では、妊娠中の歯科受診にまつわる疑問に、歯周病学の専門家でもある富貴ノ台こんどう歯科の院長・近藤駿がお答えします。正しい知識を持って、安心して受診のタイミングを迎えていただければと思います。
妊娠中に歯医者に行ってはいけないは誤解?受診のタイミングを整理する
「妊娠中は歯医者に行けない」——これは大きな誤解です。ただし、妊娠の時期によって受診の「ベストタイミング」と「配慮が必要なタイミング」があることも事実。ここでは時期別に整理してお伝えします。
妊娠初期(〜15週):緊急時以外は経過観察が基本
一般的には、安定期(16週〜)の歯の治療は可能です。その他の時期でも、お母さんの体の状態や治療内容によっては可能です。妊娠初期は赤ちゃんの器官が形成される大切な時期で、母体も不安定なことがあります。つわりがひどく、治療チェアに長時間横になるのがつらい時期でもありますよね。痛みや腫れなど緊急を要する症状がない限りは、まず歯科医院に連絡して相談するのが安心です。
妊娠中期(16〜27週):最も安心して受診できる「安定期」
妊娠中はむし歯や歯周病になりやすくなっている上に、これらの初期症状に自分からは気づきにくいものです。つわりがおさまる4〜5カ月頃に歯科健診を受けて、比較的体調の安定した妊娠中期に必要な歯科治療を済ませたいものです。
日本歯科医師会もこの時期の受診を推奨しており、虫歯治療・歯石除去・歯周病の処置といった一般的な歯科治療は、妊娠中期であればほとんど対応できます。当院でも、妊婦さんが受診される際には体への配慮を最優先にしながら、お一人おひとりのご状態に合わせて治療計画をご提案しています。
妊娠後期(28週〜):体の負担を考えて応急処置中心に
妊娠後期はお腹が大きくなり、治療チェアに仰向けになると大きなお腹の重みで背中側の血管(大動脈)が圧迫され、気分が悪くなることがあります(仰臥位低血圧症候群)。緊急性がなければ産後に治療を持ち越すのが原則ですが、どうしても痛みがある場合は応急処置で対応することが可能です。妊娠中期から始めた治療が後期に差しかかった場合は、その旨を担当の歯科医師に必ず伝えてください。
また、妊産婦歯科健康診査は、母子保健法により、市町村が必要に応じて行う妊婦健康診査の一環と位置づけられています。妊娠に伴う口腔環境の変化や不十分な口腔ケアで悪化しやすい歯周疾患やう蝕等の、早期発見と保健指導を目的としています。東海市にお住まいの妊婦さんは、母子健康手帳とともに交付される受診票を活用しながら、安定期に歯科健診を受けることをご検討ください。当院はバス停「星城大学東」から徒歩1分、駐車場(幅2.7mのゆったり設計・思いやり駐車場あり)も完備していますので、体が重い時期でも来院しやすい環境を整えています。
麻酔・レントゲンは赤ちゃんに影響する?正直にお伝えします
「麻酔を使ったら赤ちゃんに何かあるんじゃないか」「レントゲンを撮って胎児が被曝しないか」——妊婦さんが最も心配されるポイントがここです。結論からお伝えすると、適切な処置のもとでは赤ちゃんへの影響を限りなく抑えることができます。
歯科の局所麻酔:胎児には届きません
通常の歯科治療に用いられる麻酔は局所麻酔で、使用量もわずかです。局所で分解されるため、胎児には影響ありません。痛みを我慢しての治療は、母体にも胎児にもストレスになるため、安定期には適切に使用した方がよいかと思われます。
つまり、麻酔なしで痛みを我慢することのほうが、お母さんにも赤ちゃんにも負担になる場合があります。当院では、表面麻酔・極細針・電動麻酔器を組み合わせて注射そのものの痛みを最小限に抑えた上で局所麻酔を行います。「注射が怖い」という方も、まずお気軽にご相談ください。
なお、笑気麻酔(吸入鎮静)については妊娠中の使用を避けるのが一般的です。当院では妊婦さんへの笑気麻酔は行っておりませんので、ご安心ください。
歯科用レントゲン:防護エプロンで赤ちゃんを守ります
歯科治療で通常用いられるエックス線の放射線量はごくわずかですし、照射部位も子宮から離れているので、お腹の赤ちゃんにはほとんど影響はありませんが、妊娠していることを伝えて防護用エプロンを着用するとさらに安心です。
当院では、歯科用CTを含む機器はすべて口腔・顎の周囲に限定した撮影をおこないます。妊娠中は緊急性がない限りレントゲン撮影を控えますが、診断上どうしても必要な場合は必ず防護用エプロンをお付けして行います。「撮りたくない」という気持ちも大切にしていますので、ご希望はその都度お伝えください。
妊娠中に使える薬・使えない薬について
妊娠中に処方できる薬には制限があります。痛み止めについては、アセトアミノフェン(カロナール)が比較的安全とされており、授乳中でも使用できます。一方、ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は妊娠後期は使用を控えるのが一般的です。抗生剤についても、妊婦さんに使ってはいけない種類(テトラサイクリン系など)があります。当院では、妊娠週数を確認した上で安全性の高い薬を選んで処方していますので、処方時には必ず妊娠中であることをお申し出ください。近藤院長は愛知学院大学歯学研究科で歯周病学の博士号を取得し、薬の使い方も含めて妊婦さんへの配慮を大切にした診療を心がけています。
歯周病が早産・低体重児リスクに関係する?東海市の妊産婦に知ってほしい事実
ここはとても大切なお話なので、少し踏み込んでお伝えしますね。「歯周病は歯だけの病気」と思っていませんか?実はそうではないんです。
なぜ妊娠中は歯周病になりやすいのか
妊娠中の歯周病リスクが高まる理由は大きく3つあります。①つわりなど不安定な体調により十分なお口のケアができない。②歯周病菌が栄養源として好む女性ホルモンが増える。③ホルモンバランスの影響で唾液が減り、お口の中の自浄機能が落ちて細菌が増える。
「妊娠したら歯肉から血が出るようになった」という声をよく聞きます。これは「妊娠性歯肉炎」(にんしんせいしにくえん)と呼ばれ、妊娠中のホルモン変化による歯ぐきの炎症です。適切なケアをしないと歯周病(歯肉の下の骨にまで炎症が広がる状態)に進行することがあります。
また、つわりによって歯磨きがつらくなったり、嘔吐による胃酸が口の中を酸性に傾けたりすることで、むし歯リスクも高まります。嘔吐後はすぐに歯磨きをするとエナメル質にダメージを与えるため、まずうがいをして30分ほど待ってから歯磨きをするのがポイントですよ。
歯周病と早産・低体重児出産の関係
健康で元気な赤ちゃんを産むためには、プレママの歯とお口の健康を守ることはとても大切。プレママが歯周病だと、「早産」や「低体重児出産」のリスクが高まると言われています。(日本歯科医師会より)[1]
むし歯や歯周病などの病気は妊娠中に悪くなりやすいものです。歯周病は早産等の原因となることがあるので注意し、歯科医師に相談しましょう。(こども家庭庁「母子健康手帳」より)[2]
さらに、厚生労働省が実施した妊産婦に関する保健体制の検討会の議事録では、妊婦健診の受診者に対して、妊産婦歯科健診を受けているのが5.8%しかないという状況にあることが明らかになっています[3]。つまり、歯科健診の重要性が認識されながらも、実際に受診している妊婦さんはとても少ない現状があります。「後で行けばいいか」と後回しにしがちですが、赤ちゃんのためにも早めの受診が大切なのです。
妊娠中のセルフケアと歯科受診をセットで
歯周病の予防・改善には、歯科でのプロフェッショナルケア(歯石除去・クリーニング)とご自宅でのセルフケアの両方が大切です。
妊娠中のセルフケア・おすすめの習慣
- 夜だけはフロスを通す習慣を:歯ブラシだけでは磨けない歯と歯の間に汚れ(プラーク)が残りやすくなります。夜の歯磨き後に1日1回デンタルフロスを使うだけで、歯周病菌を大幅に減らせます。
- フッ素配合の歯磨き粉を選ぶ:フッ素はむし歯予防だけでなく、つわりによる酸蝕症(さんしょくしょう=胃酸で歯が溶けること)にも効果的です。妊娠中も安全に使用できます。
- ヘッドが小さい歯ブラシを使う:奥歯を磨くときにえずきやすい場合は、ヘッドの小さい歯ブラシに替えるだけで楽になることがあります。
- つわり中はうがい・洗口液を活用:歯ブラシを口に入れるのがつらい時期は、フッ素洗口液やノンアルコールのマウスウォッシュでのうがいをこまめに行いましょう。
- 食後30分後に歯磨き(嘔吐後は特に):嘔吐後は酸で歯が溶けやすい状態になっています。まず水でうがいし、30分ほど待ってから歯磨きをしてください。
当院では歯周病学会認定医である近藤院長が在籍し、妊婦さんのお口の状態に合わせた歯周病治療・ブラッシング指導・クリーニングを行っています。「妊娠中のケアの仕方がよくわからない」という段階からでもお気軽にご相談ください。
妊娠中に歯科を受診するときの5つのポイント
妊婦さんが歯科を受診する前に知っておいてほしいことをまとめました。
受診前に産婦人科の先生に確認する
歯科を受診する前に、かかりつけの産婦人科の先生に相談しましょう。さらに、歯科を受診する際に、妊娠していること、何週目なのか、お母さんの体の健康状態、産婦人科の先生の意見等を伝えてください。特に切迫流産のリスクがある方や、妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病などの指摘を受けている方は、必ず産婦人科の先生と相談してから歯科を受診してください。
歯科受診時に「妊娠中であること」を必ず伝える
母子健康手帳を持参し、「何週目か」「産婦人科から注意されていること」「アレルギーや薬の既往」を受付の段階で伝えましょう。当院では問診票でもお伺いしますが、口頭でも改めて教えていただけると安心です。
体調が良い時間帯・曜日に予約する
つわりが残っている方は「午後の早い時間帯が比較的楽」という方が多いです。当院は9:30〜13:00・14:00〜18:00の診療で、土曜日も受診できます。「なるべく人が少ない時間に」「夫(パートナー)と一緒に来たい」など、ご要望はWEB予約または電話でご相談いただけます。
治療中は少しでも辛ければ声に出す
治療チェアで仰向けになるのが苦しくなったら、すぐにスタッフに伝えてください。背中にクッションを入れて体の角度を調整したり、座って治療できる内容に変更したりと、できる限り対応します。
出産後の治療計画も一緒に立てる
産後は赤ちゃんのお世話で歯医者に来る時間が取りにくくなります。妊娠中期の受診の際に「産後にするべき治療」をあらかじめ把握しておくと安心です。当院のキッズルーム・ファミリー診療室は産後の受診にも対応していますので、赤ちゃん連れで来院いただける体制を整えています。
まとめ
この記事で重要なポイントをまとめます。
- 妊娠中に歯医者に行ってはいけないは誤解:安定期(妊娠16〜27週)は最も受診しやすい時期。日本歯科医師会・日本歯科大学附属病院もこの時期の受診を推奨しています。
- 麻酔・レントゲンの影響は限りなく小さい:歯科の局所麻酔は局所で分解され胎児には届かない。レントゲンも照射部位が子宮から遠く、防護エプロンの着用でさらに安全に。
- 歯周病は早産・低体重児リスクと関係している:日本歯科医師会の情報でも「プレママが歯周病だと早産・低体重児出産のリスクが高まる」とされています。妊娠中こそ口腔ケアが大切です。
- セルフケアは"夜のフロス"が最強の習慣:フッ素配合の歯磨き粉+就寝前のデンタルフロスがむし歯・歯周病の両方に効果的です。
- 厚生労働省が推進する妊産婦歯科健診の受診率は約5.8%と低い:多くの妊婦さんが受診できていない現状があります。安定期に一度は歯科健診を受けることをご検討ください。
妊娠中で受診を迷っている方へ。富貴ノ台こんどう歯科は、バリアフリー設計・ファミリートイレ・個室カウンセリングルームを備え、妊婦さんが安心して通える環境を整えています。院長・近藤駿は歯周病学の博士号を持ち、妊婦さんのお口のケアにも丁寧に対応しています。「安定期に入ったら来てみようかな」という段階でも大歓迎です。名鉄常滑線「新日鉄前」駅から徒歩10分、バス停「星城大学東」から徒歩1分の立地で、ゆったりした駐車場も完備。24時間WEB予約または電話(052-613-8619)でお気軽にご相談ください。
はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。
参考文献
[1] 日本歯科医師会「なぜ?なに?歯医者さん プレママの歯周病リスク」jda.or.jp
[2] こども家庭庁「母子健康手帳」cfa.go.jp
[3] 厚生労働省「第2回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会 議事録」mhlw.go.jp
[4] 日本歯科医師会「妊娠時の歯やお口のケア テーマパーク8020」jda.or.jp
[5] 厚生労働省(e-ヘルスネット)「歯科健診(検診)」kennet.mhlw.go.jp
[6] 日本歯科大学附属病院「妊娠前から妊娠期、授乳期のQ&A|マタニティ歯科外来」tky.ndu.ac.jp