「社会人になってから矯正を始めるのは恥ずかしいかも」「仕事中に装置が目立つのは困る」——東海市で働く大人世代から、こんな声をよく耳にします。でも実は、大人だからこそ矯正の効果が長続きしやすいメリットもあります。まず正しい情報を知ったうえで、自分に合う方法を選んでみませんか。
当院・富貴ノ台こんどう歯科でも、「どの装置が自分に合うのか」「費用はどれくらいかかるのか」というご質問を毎日のようにいただきますので、この記事ではそういった疑問に、現場の立場からわかりやすくお答えしていきますね。
東海市で矯正を考え始めた大人の方へ——「今からでも遅くない」理由
成人矯正への関心は年々高まっています
矯正治療への社会的な関心は、データからも読み取れます。厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査」では、過去1年間に歯科検診(健診)を受診した人の割合が63.8%と、調査開始以来初めて6割を超える結果となりました。口腔への意識が高まる中で、矯正治療の受診者数も増え続けています。
近年、美しく健康な歯並びを手に入れたいという機運が高まり、歯列矯正治療の需要が年々増加しており、中でも装着しているのが目立たないマウスピース矯正が増加傾向となっています。
また、令和4年歯科疾患実態調査では、矯正歯科治療の経験の有無について新たに調査が実施されており、矯正治療の重要性が国レベルで認識されていることがわかります。
大人になってからでも歯は動きます
「もう大人だから遅い」と思っている方も多いのですが、そんなことはないんですよ。日本歯科医師会によると、矯正治療によって歯を移動させることは何歳になっても可能です。ただし、歯ぐきや歯を支えている骨が健康であることが必要な条件とされています。
さらに若い時にはきれいな歯ならびであっても、年齢とともに歯ならびは変化します。とくに親知らずに押されたり、むし歯で歯を失ってから長い期間ほうっておいたりした場合には、かみ合わせは大きく変化します。中高年になってから生じた歯ならびやかみ合わせの不正に対しても矯正治療が必要となることがあります。
つまり、大人になってから矯正を考えるのは、むしろ自然なことなのです。
大人の矯正ならではのメリット
お子さんと比べて、大人の矯正には独自のメリットがあります。
- 自分の意志で取り組める: 治療の目的や意義をしっかり理解したうえで開始できるため、装置の使用や通院のモチベーションが続きやすい傾向があります。
- 顎の成長が止まっているため計画が立てやすい: 成長中のお子さんと異なり、顎の骨格が安定しているため、治療計画通りに進めやすいという特長があります。
- 仕事・ライフスタイルに合わせた装置選択ができる: 職業や生活スタイルに合わせて、目立ちにくい装置を選択できます。
治療期間は年齢とともに長くなる傾向があり、20歳を過ぎている患者さんなら3年前後かかることも多くなります。長くなる分、焦らず計画的に進められる点もあります。
当院では、名鉄常滑線「新日鉄前」駅から徒歩10分の立地で、土曜日も診療を行っています。お仕事をされながら通院する東海市の大人の患者さんにも、スケジュールを合わせやすい環境を整えています。
マウスピース矯正とワイヤー矯正、どちらが自分に向いているの?
それぞれの装置の特徴を知っておこう
まず、大きな違いを整理しましょう。
ワイヤー矯正(マルチブラケット装置)とは、歯面に3mm角程度の小さなブラケットという装置を直接接着し、直径0.5mm程度の細いワイヤーを通し、ワイヤーの弾力性などを利用して歯並びを直していく装置で、マルチブラケット装置と呼ばれます。
マウスピース矯正(アライナー型矯正装置)は、透明な薄いプラスチック製のマウスピースを一定期間ごとに交換することで歯を少しずつ動かしていく装置です。マウスピース矯正については複数の比較研究があり、マルチブラケット装置の治療効果には劣るものの治療効果があることが報告されており、ある種の不正咬合の治療には効果を発揮すると考えられています。
比較表:マウスピース vs ワイヤー
| 比較項目 | マウスピース矯正 | ワイヤー矯正(表側) |
|---|---|---|
| 見た目 | 透明で目立ちにくい | 金属が見える(白色陶器製も可) |
| 着脱 | 自分で取り外し可能 | 取り外し不可 |
| 適応症例 | 軽度〜中等度 | 軽度〜重度まで幅広い |
| 食事 | 外して食べられる | 制限が生じやすい |
| 口腔ケア | 取り外して磨ける | 装置の周りを丁寧に磨く必要あり |
| 治療費目安 | 60万〜100万円前後 | 60万〜100万円前後 |
| 治療期間目安 | 1〜3年程度 | 1〜3年程度 |
※費用・期間はどちらも個人の症例によって大きく異なります。自費診療のため料金は医院によって異なります。
「自分はどちらに向いている?」を判断するポイント
どちらを選ぶかは、「歯並びの状態」と「生活スタイル」の両面から考えることが大切です。
マウスピース矯正が向いている方の例
- 接客業・営業職など、装置の見た目が気になる方
- 食事中に自由に取り外したい方
- 軽度から中等度の歯並びのずれや隙間がある方
- 金属アレルギーが心配な方
ワイヤー矯正が向いている方の例
- 歯並びのずれが大きい方(重度の叢生(そうせい:歯が重なった状態)など)
- 複雑な噛み合わせの改善が必要な方
- マウスピースを毎日20〜22時間以上装着する自己管理が難しいと感じる方
日本矯正歯科学会のポジションステートメントでは、マウスピース型矯正装置による治療には適応症の判断や専門的知識を要することから、大学病院等や学会が認める基本研修機関において十分な矯正歯科領域全般にわたる基本的な教育と臨床的なトレーニングを受けた歯科医師による診察、検査、診断を基に治療を行うことを推奨しています。
当院では、口腔内スキャナー「iTero」を用いた精密な診査を行ったうえで、歯科医師が「この患者さんにはどちらの装置が適しているか」を丁寧にご説明しています。
矯正治療の費用・期間・保険の目安を知っておこう
矯正治療の費用はどれくらいかかる?
矯正治療のほとんどは自費診療です。日本矯正歯科学会によると、矯正歯科治療は一般的には保険適用外ですが、①特定の疾患に起因した咬合異常への矯正治療、②3歯以上の萌出不全(歯が正常に生えてこない状態)に起因した咬合異常への矯正治療、③顎変形症の手術前後の矯正歯科治療、の場合に限り保険診療の対象となります。
つまり一般的な歯並びの改善が目的の矯正は、自己負担となります。費用の目安は、使用する装置・治療期間・症例の難易度によって変わりますが、ご参考として下記の目安をご覧ください(すべて税込概算・当院基準ではなく一般的目安)。
| 装置の種類 | 費用目安 |
|---|---|
| マウスピース矯正(部分) | 20万〜50万円前後 |
| マウスピース矯正(全体) | 60万〜100万円前後 |
| ワイヤー矯正(表側・全体) | 60万〜100万円前後 |
| ワイヤー矯正(裏側・全体) | 80万〜130万円前後 |
当院での具体的な費用は診査・診断のうえでご説明しますので、まずはご相談ください。
治療の流れと期間の目安
矯正診療は「検査→診断→治療」の順で行われます。検査により不正咬合(ふせいこうごう:歯並びや噛み合わせの異常)の成り立ちが解明され、治療方針が決まります。
永久歯列全体を治療する場合、マルチブラケット装置をつける期間は平均2〜3年というところです。また、歯並びが整いマルチブラケット装置をはずした後も、リテーナーといわれる保定装置をつけて動いた位置で歯を安定させる期間が必要です。
当院では、矯正治療の開始前に歯科用CTやiTeroによる口腔内スキャンで精密な状態把握を行います。「今どんな状態にあるのか」を患者さんに画像や3Dモデルを使って丁寧にご説明したうえで、治療計画を共有することを大切にしています。
医療費控除で負担を軽減できる場合があります
自費の矯正治療でも、一定の要件を満たせば確定申告による医療費控除の対象となる場合があります。詳しくは税務署または税理士にご相談ください(当院は税務アドバイスを行う立場にありませんので、ご了承ください)。
矯正治療で「見た目」だけでなく「噛み合わせ」が整う理由
歯並びと噛み合わせは、全身の健康とつながっています
矯正治療は「見た目をきれいにする」だけのものではありません。日本矯正歯科学会によると、歯並びを放置した場合、ますます歯並びや噛み合わせが悪くなったり、硬い食物を食べることが困難になったり、むし歯や歯周病になりやすく歯の寿命が短くなるなどのリスクがあります。
不正咬合(歯並びの乱れ)の代表的なタイプには、叢生(そうせい:乱ぐい歯・八重歯など)、上顎前突(出っ歯)、反対咬合(受け口)、開咬(かいこう:奥歯で咬んでも前歯が合わない状態)、過蓋咬合(かがいこうごう:咬み合わせが深すぎる状態)などがあります。こういった不正咬合に対して矯正治療が必要となる場合があります。
噛み合わせが整うと、むし歯・歯周病のリスクも下がります
歯並びが整うことで、歯ブラシやフロスが届きやすくなり、プラーク(歯垢)が残りにくい環境になります。これは、むし歯や歯周病の予防にもつながる大切な変化です。
歯周病と矯正の関係について、当院院長の近藤駿は歯周病学の博士号を持ち、歯周病専門的知見から矯正後のケアにも目を向けた診療を行っています。矯正治療を通じて歯並びを改善したあとも、定期クリーニング・セルフケア支援によって口腔内を良好な状態に保つ予防プログラムを提供しています。
「噛み合わせ」を見ながら治療を進める重要性
矯正治療を行うにあたり、形態や審美が改善しただけでは十分とは言えません。そこに機能の裏付けがなされて初めて保定やメインテナンスがしやすくなります。歯周病や咬合崩壊の原因を顎運動や発語等の機能から探り、それらを改善することが咬合の安定につながると考えられます。
矯正治療では、見た目の美しさだけではなく、咬み合わせの改善や咀嚼(そしゃく)機能の向上、口全体の健康増進を目指して治療を行います。
当院では、治療前に歯科用CTとiTeroを活用した精密診査を実施します。骨の状態・歯根の位置・歯周組織の健康度を総合的に把握したうえで治療計画を立てるため、「見た目」だけでなく「噛む機能」の改善を見据えた矯正治療を目指しています。
まとめ
- 大人になってからでも矯正は可能です。 日本歯科医師会の見解でも、歯ぐきや歯を支える骨が健康であれば何歳でも歯を動かすことができると示されています。社会人・働く世代が矯正を選ぶことは、今や珍しくありません。
- マウスピース矯正とワイヤー矯正は、それぞれ適している症例が異なります。 軽度〜中等度の歯並びで目立ちにくさを重視するならマウスピース矯正、重度の叢生や複雑な噛み合わせの改善にはワイヤー矯正が適している傾向があります。どちらが合うかは、精密な診査を受けてから判断することが重要です。
- 費用・期間の目安を知っておくことが大切です。 矯正治療は基本的に自費診療で、全体矯正では60万〜100万円前後・2〜3年を目安にすることが多いですが、症例や装置の種類によって変わります。医療費控除の対象になる場合もあります。
- 矯正治療は「見た目」だけでなく「噛み合わせ」と「口腔の健康」に深く関わります。 日本矯正歯科学会も、形態だけでなく機能の裏付けが重要と示しています。歯周病リスクの低減・咀嚼機能の向上など、長期的な口腔の健康につながる選択です。
- 噛み合わせまで見て治療方針を決めることが、治療の質を左右します。 装置を選ぶ前に、精密な診査と治療計画の説明を受けることをおすすめします。
「自分はマウスピースが向いているの?」「費用がどれくらいかかるか先に知りたい」という方も、まずはご相談ください。当院では口腔内スキャナーiTeroを使った精密な診査を行ったうえで、歯科医師が治療方針をご説明します。24時間WEB予約または電話(052-613-8619)にて受け付けております。東海市内はもちろん、名鉄常滑線「新日鉄前」駅から徒歩10分圏内の方もぜひお気軽にどうぞ。
はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。
参考文献
[1] 厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査」の結果(概要)を公表します mhlw.go.jp
[2] 厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査結果の概要」mhlw.go.jp
[3] e-ヘルスネット(厚生労働省)「不正咬合の治療法の概要」kennet.mhlw.go.jp
[4] 公益社団法人 日本矯正歯科学会「矯正歯科治療について」jos.gr.jp
[5] 公益社団法人 日本矯正歯科学会「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」jos.gr.jp
[6] 公益社団法人 日本矯正歯科学会「マウスピース型矯正装置による治療に関する見解」jos.gr.jp
[8] 日本歯科医師会「テーマパーク8020 矯正歯科」jda.or.jp
[11] J-STAGE 日本顎咬合学会誌「咬み合わせの科学」矯正治療に関する論文 jstage.jst.go.jp
[12] 日本歯科理工学会誌「マウスピース矯正治療の現状」jstage.jst.go.jp